Updated: 2010/03/25

連載(13)狩猟はアウトドアの「総合格闘技」/ハンティングネット佐藤孝さん

By 北海道日刊スポーツ新聞社

連載(13)狩猟はアウトドアの「総合格闘技」/ハンティングネット佐藤孝さん


「狩猟はアウトドアの総合格闘技です」。ハンティング歴15年の佐藤孝さん(37)は笑顔でそう話した。自然の知識、スキーやスノーモービル、車の運転技術など、狩猟に必要なものは数えだしたらきりがない。アウトドアの王様的存在と言っていいほどだ。

 22歳のとき、佐藤さんは大手電機メーカーのグループ会社で無線関連の仕事をしていた。山奥での仕事も多かった。「クマが出没する危険もあり、ハンターに頼んで同行してもらうこともあった。それだとお金もかかるし、ペースも合わせないといけない。だったら自分で資格を取ってしまおうかと」。父もハンターだっただけに、なじみはあった。
 始めると狩猟の世界の奥深さを知った。日本では銃へのアレルギーもあり、狩猟人口は年々減っている。96年に道内で1万4000人いた人口も、08年末の調査では8000人に減少。平均年齢も66歳と高くなっている。この状況に「文化がどんどん消えてしまっている」と危機感を持つ。

 狩猟は1日にしてならない。何度も同じ場所に行き、五感をとぎすましていく。自然への経験値なくして、動物と対峙(たいじ)することはできない。野生のエゾシカやヒグマが増えすぎ、農作物への被害が問題となる中、経験あるハンターが「絶滅」しかけている。03年10月に退社し、銃砲店「ハンティングネット」を立ち上げ、普及と後進の育成に力を入れる。

 自然と一体化する狩猟では、説明できないほど神秘的な場面に遭遇することも多い。山ではカラスが獲物の場所を「教えてくれる」という。最初は冗談と思ったが、おこぼれに預かりたいカラスが獲物までハンターを誘導することがあるという。また「火柱が立った」状況になると動物は察知するという。火柱とはハンターの「仕留めたい」という気持ちが強すぎて、周りが見えなくなった状況を指す。「野生動物は勘が鋭いから気づいてしまうんです。逆に仕留めた後、振り返るとキツネや虫がいるんですよね。びっくりしますよ」。

 仕留めた2b40aのヒグマが、自分の5b先まで向かって走ってきたこともある。それでも気持ちで負けないことが大切だという。それに加え「取らせてくれたことに感謝して、大切に無駄なくいただきます。より多くの人に狩猟を知ってほしいというのが願いです」と自然と動物たちへの感謝も忘れない。新しい狩猟の世界を切り開いていこうと、佐藤さんは1歩ずつ歩んでいく。【上野耕太郎】

 ◆佐藤孝(さとう・たかし)1972年(昭47)11月23日、札幌市生まれ。北海道工高(現、北海道尚志学園高)卒業後、トヨタ自動車に入社し名古屋へ。20歳のときに東芝の関連会社に転職し、狩猟の免許も取得した。03年に立ち上げた「ハンティングネット」(石狩市樽川3条1丁目27の2)では、狩猟用の銃の販売だけではなく、海外からの輸入なども行っている。家族は妻。

 ◆佐藤さんの北海道特選
 ▽食事 札幌のススキノにある居酒屋「のつけ」の魚がおいしいですね。あと、私はそばが好きなんですけど、平取町の「藤」というお店は、ダシと手打ちのそばが最高ですね。あと、有名ですけど富川町の「いずみ食堂」のソバも絶品です。
 ▽場所 支笏湖の西にある「フレ岳」、あと中山峠の近くにある「中岳」は個人的に好きですね。

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