Updated: 2010/04/13

連載(16)北海道を撮り続ける奇才/「春との旅」小林政広監督

By 北海道日刊スポーツ新聞社

連載(16)北海道を撮り続ける奇才/「春との旅」小林政広監督


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連載(16)北海道を撮り続ける奇才/「春との旅」小林政広監督

舞台あいさつする左から主演の仲代達矢と徳永えり、小林政広監督

 奇才は北海道を舞台に映画を撮り続ける。小林政広監督(56)が5月22日に公開される最新作「春との旅」のプロモーションのため、8日に札幌入りした。本作でも増毛、新ひだか町などをロケ地に選んだ。過去に「海賊版=BOOTLEG FILM」(99年)、「KOROSHI 殺し」(00年)、「歩く、人」(01年)、「フリック」(04年)、「幸福」(06年)とそのキャリアのほとんどの作品で北海道が重要なカギとなる。なぜか―。

 小林監督 最初は東京から撮影準備に来たんです。よそ者ですから、北海道のことがよく分からない。次に増毛の造り酒屋の話(歩く、人)でまた撮った。それでも一般の働く人たちの生活が見えてこない。ただ、分からないときは何かを作るときなんです。想像したり、調べたり。本にして、撮影して分かるようになってくる。

 東京出身の小林監督にとって、北の地は創作の源泉だった。「春との旅」でも仲代達矢(77)が演じる増毛の元漁師の忠男と孫の春(徳永えり)とのきずなを描いた。仲代のスケジュールの都合で4、5月の雪の残る増毛での撮影になったが、実際は12月以降の真冬に時期を設定したかった。

 小林監督 東京は昔、もっと雪が降った。私は東京の人間ですので、北海道の風景、雪のあるシーンにどうしてもノスタルジーを感じてしまう。今回、都合で4月になったんですけど、逆に春ちゃんの第2の人生を迎える春が来て、話と時期がうまく結びついたかもしれませんね。

 若い時期は揺れた。高校を卒業してから、フォークシンガーとして活動、その後、安定を求めて郵便局へ就職した。表現者としての道を捨てきれなかった。28歳のとき「名前のない黄色い猿たち」で城戸賞を受賞し脚本家となった。夢だった初メガホンは42歳。そこから輝かしい実績を重ねる。

 99年から3年連続でカンヌ国際映画祭に出品。07年のロカルノ国際映画祭では監督、脚本、主演を務めた「愛の予感」でグランプリを獲得した。今回主演の仲代は小林監督をこう評す。「60年間、150作品に出演してきました。いろいろな監督の作品に出ましたが、小林監督は黒沢明さんと並ぶべき天才」。

 今作品では老い、孤独、きずなを描いて見せた。深刻なテーマにも「たかだか映画ですから」と笑う。そしてこうも付け加えた。「この作品では一番近い人、ずっと一緒にいた人から最後に希望をもらったんですよね」。極寒の地での映画のなかに、ぬくもりと希望が込められている。【上野耕太郎】

 ◆小林政広(こばやし・まさひろ)1954年(昭29)1月6日、東京都文京区生まれ。学習院高を卒業後、フォークシンガー「林ヒロシ」として活動。20歳で引退後、コンピューター会社、郵便局など職を転々とする。42歳で初監督作品「CLOSING TIME」で97年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞。「海賊版=BOOTLEG FILM」(99年)から3年連続カンヌ国際映画祭出品。「カンヌに愛される監督」と海外でも評価が高い。

 ◆春との旅 仲代が9年ぶりに主演を務めた本作は5月22日公開。小林監督が原作、脚本も務め、10年越しの企画が実現した。増毛の元漁師の忠男(仲代)は足を痛め、給食係を務めていた孫の春(徳永)は廃校により失業。切羽詰まって忠男は最後の住まいを求め疎遠となった親類縁者を訪ね東北への旅に出る―。大滝秀治、淡島千景、田中裕子、香川照之ら名優が競演。上映時間は2時間14分。

 小林監督の北海道特選
 ▽食べ物 「いずみ食堂」(日高町)のそばは傑作ですよね。もう、全国区のようですね。あんなにうまいそばはめったにない。あと北海道の食べ物といえばカレーラーメンがおいしいですよね。



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