Updated: 2010/01/21

連載(4)戦闘機パイロットから「空の作家」へ/野営飛行舎・湯口公さん

By 北海道日刊スポーツ新聞社

連載(4)戦闘機パイロットから「空の作家」へ/野営飛行舎・湯口公さん


 
 たった一つの風景で、人生が変わった。

 倶知安町に住む湯口公さん(38)は、肩書を尋ねられると、しばらく考え込んだ。「とりあえずは飛行家ですか…」と苦笑いした。自然を題材に写真、映像を撮影し、文章をつづる。米・アラスカでは、1000万円で購入した自家用軽飛行機「ハスキー」で荒野を進む。「『高い山志向』も『記録志向』もありません。楽しいことをやっているだけ」と肩ひじをはらない。

 旭川西高時代からパイロットにあこがれた。弘前大在学中に米国で操縦免許を取得。「せっかくなら操縦の難しい飛行機に」と卒業後、航空自衛隊に入隊した。4年の訓練後、最高時速マッハ2・4を誇るF―15戦闘機のパイロットとなった。「相手の機体が見えたらすぐにすれ違うという感覚。機体の後ろに付かれたらやられるので、演習でもほとんど後方を見ながら操縦しました」という高度な技術の世界。04年には編隊長資格を取得し、順調に出世もした。

 05年に転機が訪れた。国際軍事行動演習がアラスカで開催された。飛行中、目の前に広がる自然に圧倒された。帰国しても感動は消えない。その年の12月、自衛隊を退官。自然の世界で生きることを決意した。

 07年5月には時速180`の「ハスキー」で、アンカレジから北極海への単独飛行を敢行。イヌイットの集落に行き、その生活を体感した。翌年2月には厳冬期の知床岬へ入山した。シーカヤックで海岸線を2泊3日で周り、ヒグマの存在を感じながらテントで寝泊まりした。「チーム・デブリ」と名付けた冬山パウダー滑走チームも結成。自然を深く知るために狩猟も始めた。08年には体験を本に、昨年は空の世界をDVDで映像化した。「社会的には外れているかもしれませんが、その生活の中から自分を見つけたい」。

 自家用ジェットのパイロットとしてスカウトもされた。経済的には安定するオファーも断った。自由と北海道の自然を愛する。「10年近く本州に住んで、北海道に戻ってきた時ですね。こんなに良いところだったんだって思いました。土地の広さ、空の広さ…。雪質も素晴らしい。狩猟もできる。アウトドアをやる人にとっては最高の環境」と話す。そして、最後にこう付け加えた。

 「もっといろいろな意味で冒険しやすい世の中になればいいなと」。湯口さんにとっては、生きることが未知なるものへの挑戦なのだ。【上野耕太郎】

 ◆湯口公(ゆぐち・いさお)1971年(昭和46年)10月10日、東京都生まれ。5歳のときに旭川市へ。旭川春光台中時代、走り幅跳びで全道中学3位。旭川西高時代は陸上部。チーム・ナックスのリーダー、森崎博之氏と同級生で、今年1月の同窓会では、森崎氏も08年に出版した「アラスカ極北飛行」(須田製版)を購入した。91年弘前大理学部地球科学科に入学。96年に航空自衛隊に入隊。09年6月には「DVDアラスカ極北飛行」も発売。家族は妻。


<湯口さんのお知らせ>
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●「アラスカ極北飛行」 購入はこちら
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